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2021.02.25

トラベルよりイートよりGO TO 歯医者!(サンデー毎日)その1

新型コロナ感染症による緊急事態宣言が3月7日まで延長される中、ワクチンの一般接種も始まろうとしています。しかし依然として私たちの生活はまだまだ予断を許さない状況が続いています。

昨年末になりますが、2020年12月20日のサンデー毎日誌上に「トラベルよりイートよりGO TO 歯医者!」という記事が掲載されました。記事はサンデー毎日・本誌の鳥海美奈子さんが書かれています。ご覧になられた方も多いと思います。少し長くなりますが見ていきましょう。

本格的な冬の訪れとともに新型コロナウイルス感染症が再び猛威をふるい、Go Toトラベルもイートも混乱を極めている。だが、ぜひ出かけてほしい場所がある。歯医者だ。放っておけば口内の歯周病菌や虫歯菌などが新型コロナ感染症を誘引し、重症化にも繋がるという。

気温が下がり、空気が乾燥した冬を迎えて新型コロナウイルス感染者数は増加の一途をたどり、ついに第3波が襲来した。一部の医療機関でクラスター(感染者集団)が出たことから、今年3月以降は病院の受診をためらう人が増えている。とりわけ患者数の減少が顕著なのが歯医者だ。

7月下旬、神奈川県保険医協会が県下の開業歯科医に「外来患者数が減ったか」というアンケートを実施したところ、前年同月比で「減った」と答えたのは3月で72%4月と5月でそれぞれ95%、緊急事態宣言が明けた6月でも68%に上った。さらには「患者自身が受診を控えたことによると思われる受診の遅れ、重症化事例はあったか」に対し、全ての医科の中で多く「あった」と答えたのが歯科だった。実に59%にも及んだのだ。

歯周病菌が潮型コロナ由来の肺炎を重くする

マスク暮らしとは対極ともいえる口を開けての歯科治療には、及び腰になる人がいるのも想像に難くない。だが、そういった受診控えこそ、逆に多くの問題を引き起こしている---と警鐘を鳴らすのが、鶴見大歯学部探索歯学講座の花田信弘教授である。

「主に歯周病の悪化や急性増悪が見られます。また、虫歯が進行することによって神経や歯を抜かねばならなくなる人が増えています。新型コロナの第3波を乗り切るには、むしろ口腔ケアが欠かせないのです」

花田教授は「新型コロナ感染症については分からないことが多い」と前置きしつつ、口腔内の細菌が新型コロナ由来の肺炎を重症化させる恐れを指摘する。33ページの図)


「実際、海外ではそのような臨床報告が上がってきています。イギリスでは細菌性肺炎患者に多くの口腔常在菌が見つかったとの報告もありました」(花田教授)

どういうことなのか。まず、新型コロナ感染症の肺炎は、季節性インフルエンザなどと同様に、次の3パターンに分けられる。

1 原発性新型コロナウイル ス肺炎=新型コロナウイル師スそのものが原因となって起こる肺炎。

2 新型コロナウイルスと細菌による混合性肺炎=ウイルス感染と同時に、細菌感染も併発した肺炎。

3 2次性細菌性肺炎=ウイルス感染症が軽快した後に、損傷を受けた肺や気管支に細菌が感染することで起きる2次感染。

このうち23の細菌性肺炎を起こす犯人と目されているのが、口腔内の虫歯菌や歯周病菌を含む細歯なのだ。

そもそも口腔は、新型コロナウイルスの“門戸”にあたる。ウイルスには王冠(コロナ)と似た形の突起があり、それが人間のアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体に結合することで体内に侵入する。その受容体ACE2は人間の口腔や舌の上皮細胞に多く存在し、それゆえウイルスが繁殖しやすいのだ。PCR検査を唾液、また口腔と繋がった鼻咽腔で行う理由もここにある。新型コロナ感染症や後遺症に、しばしば味覚や嗅覚異常が起こる理由もしかり、だ。

その上、歯周病などによる炎症があると、本来は細胞の膜で覆われているACE2受容体が露出した状態になるため、より感染しやすくなると考えられている。

 

「新型コロナウイルスも虫歯菌や歯周病菌、さらには口腔の常在菌も、唾液や血液を介して体内に運ばれ、肺に到達して炎症を起こします。虫歯や歯周病により口内に炎症があると、歯磨きの際などに歯茎が傷つき、そこからウイルスや細菌が血中に入り込むのです。口の中には300~500種類の常在菌が棲んでいるといわれますが、口腔内にいる限りは無害なのに、別の場所にいくと異所性感染して害となり、肺炎の原因になるのです」()

さらに歯周病菌はサイトカインストーム(免疫暴走)を誘引し、肺炎を重症化さる。その結果、人を死に至らしめることもあるのだ。34ページの図を見てほしい。

「歯周病菌の外膜にあるエンドトキシン(LPS)と呼ばれる内毒素は、炎症性のサイトカインを大量に放出します。本来、サイトカインは免疫細胞がウイルスと戦うために分泌されるものですが、新型コロナウイルス感染症により肺に重い炎症があると、サイトカインが制御できないほど多量に放出され、サイトカインストームという免疫システムの暴走が発生する。それにより自らの細胞を傷つけ、敗血症の多臓器不全に陥り、重篤な状態になる恐れがあるのです」()

花田教授によると、2009年に9年に世界的に流行したH1N1インフルエンザのパンデミックでは、全死亡数の最大34%がウイルスと細菌 の同時感染によるものだった。また今年8月にスイスのメディアで発表されたデータによると、臨床医が新外型コロナ感染症患者に予防的措置として抗生物質を投与しても、細菌の2次感染による肺炎の死亡率は15.2%に及んだという。肺炎の重症化に、細菌がいかに関与しているかを示すものだ。

こうして見てくると、ウイルスや細菌が増殖する場である口腔内を健全に保つことが、コロナ禍の冬を乗り切るためには必須の条件 になるだろう。たとえば1グラムの歯垢の中には1000億個以上の細菌がいるが、食べ物のカスや歯垢が口の 中に残っていれば、それだけ細菌の数も増えて、肺炎も発症しやすくなる。 

やはり虫歯や歯周病は放置することなく、なるべく早く歯科医院を受診するのが望ましい。特に高齢者や子どもは、自力で口腔を良好に維持するのが難しく、感染症リスクの高まりが懸念される。

 

 

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