口腔機能低下症
「口腔機能低下」を早期に自覚することで、生涯にわたり、食べることを楽しみ、笑顔が続く健康長寿を支えます。
最近、「むせやすくなった」「噛めないものが増えた」「滑舌が悪くなった気がする」といったような症状を感じている方、それは“オーラルフレイル”の状態によるものかもしれません。
“オーラルフレイル”とは、「オーラル=口」の「フレイル=虚弱」という意味で、口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどの口の衰えのことです。
口腔機能低下症とは、加齢だけでなく、むし歯や歯周病、全身の病気、薬の副作用など様々な要因により、口腔内の「感覚」「咀嚼」「嚥下」「唾液分泌」等の機能が少しずつ低下してくる症状です。
口腔機能低下症を放置していると、全身の衰えが進み、要介護状態になるリスクが高くなります。
口腔機能低下症とは
- ・唾液の減少
- ・唇や頬の筋力の低下
- ・舌の筋力の低下
- ・喉頭蓋の弁の動きの低下
日頃のサインを見落として放置していると…
窒息や誤嚥性肺炎を起こしたり、摂食がうまくできず、寝たきりの原因になります!
口腔機能低下症の検査
こんな症状はありませんか?
1つでもあてはまれば、歯科医院で検査を受けましょう!
- 硬い物が食べにくくなった
- 汁物を飲みときに時々むせるようになった
- 口の中が乾くようになった
- 薬を飲み込みにくくなった
- 活舌が悪くなった
- 食事をするのに時間がかかるようになった
- 食べこぼしをするようになった
- 食後に口の中に食べ物が残るようになった
口腔機能低下症の検査
口腔機能低下症の検査は、7つの項目を行いその内の3つ以上の項目が基準値以下であれば「口腔機能低下症」と診断します。
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1口腔衛生状態不良
・舌苔の付着検査を行います。評価基準 50%以上
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2口腔乾燥
・唾液量を測定し、口腔乾燥の状態を測定します。判定基準 27.0未満
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3咬合力低下
・機能している歯の本数を数えます・感圧フィルム(デンタルプレスケール)で咬合力を計測します。判定基準
プレスケール 200N未満
プレスケールⅡ 500N未満 -
4舌口唇運動機能の低下
・「パ」「タ」「カ」を発音して舌と口唇の運動機能を調べます。判定基準
/pa/,/ta/,/ka/1秒当たりの回数
いずれかで 6回未満 -
5低舌圧
・舌圧測定器を使用し、舌の筋力を測定します。基準値 30kPa未満
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6咀嚼機能低下
・グミゼリーを噛んでいただき、溶け出たグルコースの値を測定し、どれくらい噛めているかを測定します。判定基準 100mg/dl未満
判定基準 スコア2以下
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7嚥下機能低下
・飲み込みの機能を調べる問診票を記入していただきます。判定基準 合計点数3点以上
判定基準 Aが1つ以上
*口腔機能低下症の検査部分は、一般社団法人日本老年歯科医学会参照です。
口腔機能低下症の検査ステップ
- チェックリストにより口腔機能を評価 硬いものが食べにくくなった、口の中が乾くようになったなど、チェックリストの項目で当てはまるものがないか、問診形式で確認。3つ以上該当する場合は口腔機能低下症が疑われます。
- 口腔機能の状態を調べるため精密検査をスタート 舌苔の付着程度のチェックで、口腔衛生状態を評価します。また、唾液量の計測と口腔水分計を用いた口腔粘膜湿潤度の計測で、口腔乾燥の状態を検査。さらに、感圧シートを3秒間噛み締める、歯列全体の咬合力の測定検査を受けます。
- 多彩な検査機器を用いて口腔機能の状態を数値化する 続いて、舌と口唇の運動機能、舌圧、咀嚼機能、嚥下機能を評価する検査を実施。ここまでの7つの検査項目のうち3項目以上で衰えが見られる場合は、口腔機能低下症と診断される。
- 一人ひとりの症状に合わせたリハビリテーションを開始 虫歯や歯周病があれば、治療による口腔環境の改善を図ります。それとともに、口腔機能低下の原因や現状に応じたリハビリテーションを開始。舌や口唇の運動範囲を高める機能訓練や咀嚼運動の練習、唾液の分泌を促すストレッチなどを行います。
- 定期的なメンテナンス 現状維持と機能回復を図るには、長期にわたる機能訓練と定期的なメンテナンスが必要となります。
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準を満たす当院では、こうした継続的な機能訓練が保険診療で行われ、訪問診療での対応も可能です。