虫歯の治療
歯をできるだけ削らず、
痛みの少ない治療を目指しています
虫歯は細菌による感染症ですから、虫歯になると細菌に侵された箇所を削る治療が行われます。感染が象牙質にまで及んでいる場合は歯髄に近い場所を削るので、切削器具から出る熱で損傷を与えないように注意深く削る必要のある治療です。最近の治療はMI(ミニマルインターベンション)という、可能な限り侵襲(生体を傷つけること)を与えない治療が主流です。 私どもの医院では、できる限り歯髄を抜かずに虫歯治療を行うようにしています。歯髄には、脳に情報を伝える神経だけでなく血管が通っており、歯に栄養を送っています。血管のほかにも、歯髄には歯の象牙質をつくる細胞や免疫細胞が含まれますから、歯髄を抜いてしまうと、そこに栄養が届かず、歯の組織は時間が経つにつれてもろくなり、歯が割れやすくなります。
虫歯の原因
虫歯は細菌による感染症です。口の中には多くの細菌が存在しています。中には人の役に立つ菌もいますが、ミュータンス菌やソブリヌス菌、のちに触れる歯周病などの原因菌も含まれており、これらの菌は歯垢(プラーク)の中で繁殖し、炭水化物や糖質を分解して酸をつくります。この酸が歯を溶かして、虫歯になるのです。
虫歯の症状
虫歯は、進行の程度によって、CシーOオー(Caries Observation /要観察歯)とC1からC4までの段階に分けられます。COは虫歯が疑われる段階で、まだ虫歯の穴は見られませんが、歯のエナメル質で、カルシウムやリンが溶け出す「脱だっ灰かい」が始まり、白濁ができた状態です。
この段階なら、再石灰化させて、正常な状態に回復することが可能です。食事をすると、酸性の飲食物や、虫歯菌の出す酸で口の中は一時的に酸性になりますが、歯磨きや唾液の働きで酸が弱まれば口腔内が弱アルカリ性になり、歯は唾液中のリン酸カルシウムを取り込んで再石灰化してもとに戻ります。しかしだらだらと長時間食べたり、歯磨きが充分でなかったりして酸性度を弱めることができないと、再石灰化ができずに脱灰が広がって、次の段階C1へと進行してしまいます。
歯のエナメル質は?5・5以下になると成分が溶け出し、虫歯になりやすい状態になります。しかし、唾液の働きによって30~60分かけて元の状態に戻りますが、食事や間食をとるたびに歯の表面は酸にさらされます。C1の虫歯はまだエナメル質だけが侵された状態で、痛みません。しかしC2まで進むとエナメル質より軟らかい象牙質にまで虫歯が及び、冷たいものや甘いものがしみ始めます。C3になると象牙質の内部深くに炎症が及んで、強い痛みを感じます。場合によっては歯髄(神経と血管)を取る処置が必要になります。C4に至ってはやむなく歯を抜くこともあります。
虫歯の治療法
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詰める治療
これは比較的軽度の虫歯に行います。虫歯になった箇所を削り、保険適用の治療ではプラスチック(レジン)やパラジウム合金などを使って詰めます。詰め物はインレーとも呼びます。保険適用外治療では、アレルギーや咬み合わせ、審美面も考えた金合金のメタルやセラミックス(陶材)などでの治療も可能です。
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被せる治療
歯髄をとったり、歯冠が大きく損なわれて詰め物による治療で対応できないときに行います。クラウンとも呼びます。保険適用外治療では、金合金やセラミックスを使った治療も行われます。
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欠損を補う治療
残念ながら歯を失ってしまった場合に行う治療です。歯の欠損数が少数ならブリッジ、多くの歯が失われた場合は入れ歯治療をするのが一般的です。入れ歯も、素材によって保険適用でできるものと保険適用外治療になるものに分かれます。 入れ歯やブリッジでの治療以外に、手術をしてインプラント(人工歯根)を埋入する人も増えてきました。