当院が行う、一歩進んだ歯周病の治療法
歯周病の治療法には、外科的治療のほかに、薬剤を使った内科的な治療法もあります。
また初期の段階を通り越し、歯周病で歯周組織が大きくダメージを受けてしまっても、できるだけ歯を抜かずに治療し、歯槽骨や歯茎を再獲得するための治療法もあります。ここでは、当院が取り入れているこれらの治療法についてご紹介しましょう。
1.薬剤による歯周病の内科的治療
抗カビ剤による歯磨きと内服薬による治療
歯周内科治療はまず現在の口腔内の細菌の状態を調べるために、位相差顕微鏡による細菌の種類の観察や、リアルタイムPCR検査(歯周病菌のDNA診断)を行い、診断したうえで治療法を決定していきます。
歯周病の進行には歯周病菌だけでなく、カンジダ菌というカビが関与していることがわかってきています。従来、歯周病菌のつくり出すバイオフィルムには薬剤が効きにくいと考えられていましたが、カンジダ菌に効果を発揮する抗カビ剤(アンホテリシンBシロップ)や歯周病菌に効果のある抗生物質(アジスロマイシン)があります。
私どもの歯科医院では、抗カビ剤を使った歯磨きと抗生物質の服用で、歯周病原因菌を殺菌し、その後プラークコントロールを併用する治療を行っています。
1週間ほどで、歯茎の出血や腫れ、口臭、歯のぐらつきなどの症状の改善が体感できるようになります。
高濃度次亜塩素酸電解水による溶菌
次亜塩素酸電解水はHClO(次亜塩素酸)とバイオフィルム破壊効果のあるNaHCO3(炭酸水素ナトリウム)が含まれたアルカリ性の電解水で、無色の水溶液です。薬品ではなく、口腔機能水と呼ばれています。アレルギーや副作用もありません。除菌力と消臭力、虫歯の予防に優れたこの電解水の特徴を生かして歯周病を治療します。高濃度化した次亜塩素酸電解水を歯周ポケットに噴霧し、いきわたらせることで、バイオフィルムを破壊し、歯周病菌や虫歯菌を破裂させて溶菌してしまう効果があります。次亜塩素酸電解水は超酸性水やオゾンと同様、インフルエンザウイルスやノロウイルス、病原性大腸菌(O‒
157)などの感染予防にも使用されているものです。
2.歯周組織を再生させる外科的治療法
GTR法、GBR法
歯周病によって、歯を支える歯槽骨が骨吸収を起こしてしまっているところへ、新たに骨を再生しようという方法がG T R 法(Guided Tissue Regeneration:歯周組織再生誘導法)です。また、骨の欠損が大きい場合は溶けてなくなってしまった部分に、自分の骨や人工骨材(ハイドロキシアパタイト)を使って、骨組織の再生を促すG B R 法(Guided Bone Regeneration:骨再生誘導法)があります。歯周病に罹患すると骨吸収とともに歯茎の粘膜組織も侵され、歯茎の退縮が
起こりますが、失われた骨や歯根膜、セメント質などの組織を再生させるために、組織誘導膜を歯茎内に設置し、スペースを作って歯槽骨や歯茎の組織の再生を促す方法です。
GTR 膜によって骨の再生ができるスペースを作ります(スペースメイキング)。
GTR 膜には吸収性のものと非吸収性の膜(骨が再生した後に取り除く)があります。