歯周病菌は全身をめぐる 「大腸がんにも関係する」歯周病
昨今では啓蒙活動の効果があって、歯周病と全身の病気、認知症などの原因になっていると知られてきました。今回はその中でも大腸がんとの研究を続けている横浜市立大の研究チームの発表を紹介しましょう。(神戸新聞報道部/医療・科学チーム)
厚生労働省によると。歯と歯ぐきの隙間にできる歯周病菌の温床「歯周ポケット」がある人は高齢化に伴って増え続け45歳以上では過半数の人を占めるに至っています。全ての年齢層で見ると約4割の人に歯ぐきの出血が認められると発表しています。
横浜市立大の研究チームは口の中と同じ遺伝子タイプの菌種が大腸がん組織にもいること、歯周病治療をすると、便に含まれる歯周病菌が減ることを突き止めました。
便に含まれる歯周病菌の一つ「フソバクテリウム・ヌクレアタム」は口の中のありふれた嫌気性細菌ですが2012年に大腸がん患者のがん組織からこの菌が発見されたと発表されました。以降過去国の専門家がこの菌との関係性を調べてきました。
横浜大学の研究チームは大腸がん患者に歯周病治療を受けてもらうと、改善が見られた患者は便中の「フソバクテリウム・ヌクレアタム」が減ること、大腸がんの患者の唾液と、がん組織から得られた菌種が遺伝子レベルで一致していることを報告しました。また、「ピロリ菌(歯周病菌の中では最も知名度が高い菌です)は除菌できるがヌクレアタムはできない。歯周病を治療しても唾液中の菌の濃度は下がらなかった」とも報告されています。
口の中にいる菌はやく700種と言われています。中でも様々な悪玉菌が生み出す毒素などが全身をめぐり心血管系の疾患や糖尿病などを悪化させることはわかっています。発がんとの関係を疑われる菌も見つかっています。
まず歯科で、歯周病を検査してください。日常の歯みがき方法を指導してもらい、「普段から歯周病にならない、進行させないことが健康につながる」ということをまた、教えてくれました。