歯周病と全身的疾患の深い関係①
全身の健康に歯科からアプローチできること
日本臨床歯周病学会のホームページに
「歯肉の炎症が全身に多くの影響を与えることは昨今の研究で明らかになってきています。歯周病も糖尿病も生活習慣病ですから互いに深い関係があって不思議ではありません。
毎日の食生活を含めた生活習慣を見直し、歯周病を予防する事が全身の生活習慣病を予防することにつながります。
歯医者は口腔内の変化をみる事のできるプロです。口腔ケアも自分一人できちんと行うのは難しいと言われています。半年に一度は歯科医を受診し、生活習慣も含め口腔内のケアを受けるようにしてください。」とあります。
⇐ 歯周病が影響を及ぼす疾患
中でも、一般の方にも認知されてきているのは、歯周病と糖尿病の関係です。
歯周病と糖尿病の相互関係
厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」では、
「糖尿病が強く疑われる者」の割合は、12.1%であり、男女別にみると男性16.3%、女性9.3% である。「糖尿病の可能性を否定できない者」の割合は12.1%であり、男女別にみると男性 12.2%、女性12.1%である。
「糖尿病が強く疑われる者」は約1,000 万人と推計され、平成9年以降増加している。また、「糖 尿病の可能性を否定できない者」も約1,000 万人と推計され、平成9年以降増加していたが、平成19 年以降減少している。
と報告されています。
同調査で、「糖尿病が強く疑われる者」のうち、現在治療を受けている者の割合は76.6%である。男女別 にみると男性で78.7%、女性で74.1%であり、男女とも有意に増加している。性・年齢階級別にみると、40 歳代男性では治療を受けている割合が他の年代よりも低い。
のです。
糖尿病の人は、歯周病になりやすい/歯周病で血糖値が上がる
歯周炎は、歯肉の境目の歯周ポケットに入り込んで繁殖した嫌気性の歯周病菌(歯周病関連細菌)の感染で発症する慢性の炎症性疾患です。その発症や進行には、遺伝的因子や環境的因子など加えて、からだの抵抗性が大きく関与しています。糖尿病により、からだを守るマクロファージの機能低下・結合組織コラーゲン代謝異常・血管壁の変化や脆弱化(細小血管障害)・創傷治癒の遅延などが起こり、歯周病の発症・進行に影響を与えます。その結果、糖尿病があると歯周病関連細菌により感染しやすくなり、炎症により歯周組織が急激に破壊され、歯周炎が重症化していきます。
そのままの状態で歯周炎が重篤化すると… 次回は少し怖いお話に。