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歯科治療お役立ちブログ

②歯を失わないための歯周病治療

年をとって歯が抜けてしまうのは、体力の衰えと同じような、老化現象のひとつで、当然のことだと思っていませんか。それは間違いです。35ページで触れたように、80歳で20本の歯を残そうという「8020(ハチマルニイマル)運動」を平成元(1989)年から厚生省(現厚生労働省)と日本歯科医師会が提唱しています。

「8020 運動」は「日頃から適切な歯のケアをして20本の歯を残しておけば、一生涯しっかり噛んで食事ができる」ということです。

歯周病は成人が歯を失う原因の第1位

では、なぜ年をとると多くの人が歯を失ってしまうのでしょう?

日本で、成人が歯を失う原因の第1位が、歯周病です。
40歳を過ぎた人の80%は罹患しているともいわれるほど多い病気です。生活習慣病の中でも、80%という歯周病の罹患率は最大です。一般に「メタボ健診」といわれている特定健診・特定保健指導とは、平成20(2008)年4月より始まった40~74歳までの公的医療保険加入者全員を対象とした保険制度で、健診の項目は平成19年厚生労働省令157号第1条に規定されています。

日本は生活習慣病が多いため、その結果医療費が年間1兆円増大していると算出されています。そこで糖尿病と深い関係のある歯周病を治すことで、糖尿病が治ってくるということから、歯科でも特定健診として糖尿病の検査ができるようになる予定です。

歯周病は、体の免疫作用により進行が抑制されていますが、免疫力が低下すると悪化します。年をとると体力や免疫力が落ちて歯周病にかかる割合が高くなるため、「歯が抜けるのは老化現象」だと思われてきたのでしょう。

また、歯周病を重症化させるもうひとつの大きな要因が生活習慣です。不規則な生活や疲労、ストレスは、免疫力を低下させる原因となります。また歯周病の人は、高脂肪・高タンパクの食事をとっている人が多く、ミネラルや食物繊維も不足がちな傾向があります。
糖尿、高血圧、喫煙も歯周病との関連性が高いことが指摘されています。

歯周病について正しい知識を身につけ、適切な治療を受けるとともに、生活習慣を見直し予防を心がけて、老後も自分の歯でおいしい食事ができる、健康な人生を送りたいものです。

歯周病の進行と症状

すでに述べたとおり、歯周病は、口腔内に存在する細菌によって引き起こされる感染症です。歯はどの歯の周囲にも歯周ポケットという溝があります。この溝の深さは、健康な歯茎では、1〜2㎜で、中程度の歯周病ではポケットから3〜5㎜です。そして重度の歯周病では6㎜以上にもなります。虫歯や歯周病の原因菌は、歯周ポケット内で歯に付着した強い粘着力を持つバイオフィルムの中でどんどん繁殖し、歯茎(歯肉)ポケットの奥深くまで侵入して、歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かしてしまう、恐ろしい病気なのです。

にもかかわらず、歯周病は初期段階では痛みなどの自覚症状がほとんどありません。このため知らず知らずのうちに歯茎や歯槽骨などの歯周組織が侵されてしまいます。

歯周病は、その進行度合いによって、歯肉炎と歯周炎に分けられます。

①歯肉炎
歯肉炎は、まだ歯茎だけの炎症です。歯茎が腫れて赤く充血し、ときには出血したり、ただれたりすることもありますが、自覚症状は軽く、また進行がゆっくりしているために、歯茎の腫れや口の中のネバネバ感があっても十分な治療をせず放置してしまうことが少なくありません。
②歯周炎
歯肉炎を放置すると、やがて歯周炎へと病気は進行します。初期の歯周炎になると、歯と歯茎の間に歯の表面のセメント質や歯根膜(歯と歯槽骨をつないでいるコラーゲンの結合組織)が破壊されて、歯周ポケットが深くなります。さらに炎症が広がると、歯槽骨の吸収(溶けていくこと)が始まります。歯肉炎が進行し、それとともに歯槽骨の吸収が進む状態を放置すると、歯がぐらついたり硬いものが噛みにくくなります。歯茎もブヨブヨし、膿が出て口臭がするなどの症状が現れます。さらに重症化すると歯槽骨は溶けてほとんどなくなり、歯根がむき出しになる末期を迎えます。ここまでくると、歯は抜け落ちてしまいます。

歯周病の予防と初期の治療

①歯周病の予防法
知らず知らずのうちに進行してしまう歯周病に対する最も有効な対策は、なんといっても日々の歯磨きで自分の口の中をきれいにすること。そしてその上で取りきれない汚れを歯科医院で定期的に除去してもらうこと。これが習慣になれば、仮に歯周病や虫歯になっても初期段階で発見でき、早期治療に結びつきます。ですから個人差はありますが、2~3ヵ月に1度を目安に、定期的に歯のクリーニングをしてもらうことをおすすめします。

口の中には多くの細菌がいて当たり前です。大切なのは病気を起こさないように管理することです。また規則的な食事、禁煙、ストレスをためない生活を心がけることも、歯周病を予防することにつながります。

また歯周病が重症化する人の約1割に遺伝的要素が関係しているといわれています。もし自分の両親、祖父、祖母に若いうちから歯が悪い人がいたら、遺伝的要素があるかもしれません。ただし、遺伝だからといってあきらめる必要はありません。病気のスイッチが入らないように口の中を清潔にし、定期的に歯科医院で検診してもらえば、重症化するリスクはかなり防ぐことができます。

②歯科医院でのPMTC
歯垢(プラーク)や歯石は歯周病菌の巣。歯の表面にも強力な粘着力を持つバイオフィルムが付着し、その中で細菌が繁殖しています。こうした汚れは日常の歯磨きではとれないので、定期的に歯垢や歯石を除去してもらいましょう。また、「PMTC(ProfessionalMechanical Tooth Cleaning)」と呼ぶ歯科衛生士による専門の器具や研磨剤によるクリーニングで、徹底的に歯と歯茎をきれいにしてもらうのも、有効な歯周病の予防になります。

〈バイオフィルムを作らせない予防法、3DS〉
3DS(Dental Drug Delivery System)による除菌セラピーとは、虫歯や歯周病の原因菌の巣となるバイオフィルムをPMTCなどで除去した上に、感染を起こす細菌を除菌するために行う、原因除去の治療法です。歯の型を取ってトレーをつくり、除菌・歯質の強化を促す薬品を塗布して口腔内に装着し、細菌によるバイオフィルム形成をシャットアウトする新しいシステムです。

③軽度・中等度の場合の歯周病の治療法

歯周病が初期の段階(歯周ポケットが比較的浅い場合)であれば、歯根面を滑らかにするSRP(歯根と歯茎の間の溝に入り込んだ歯石や炎症を起こした組織を専用の器具により掻きだす治療法で、スケーリングやルートプレーニングと呼ばれる)や、歯周ポケットの深さが3~5ミリくらいの中等度の場合は、P‒Cure(歯周ポケット掻そう爬は 術)という方法で、歯の見えている部分だけでなく、歯周ポケットなど歯茎で隠れて見えない部分まで、付着した歯石や歯垢(プラーク)を取り除いて、歯茎を健康な状態に戻すことができます。

歯周病が進行して、スケーリングやルートプレーニングを行っても症状が改善しない場合は、歯根に付着した歯石や細菌に侵され壊死したセメント質を除去する外科的な手術(エナップ手術)を行うことが必要になる場合があります。

④進行してしまった歯周病の治療法
歯周ポケットが5ミリ以上になると、メスを使って歯茎を剥離し、ポケット内をきれいに掻爬してから歯茎を縫合する、フラップ手術の適応となります。術後、歯周ポケットが浅くなり、健康な状態に改善されます。

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